有限会社 赤塚直右衛門商店
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◆産業組合の繁栄に尽くした赤塚直右衛門
 
 広瀬にある国分市農協東国分支所の横、水戸川の水門脇にきれいな桜色のみかげ石で作られた高さ2メートルぐらいの台座が残っています。

昔はこの上に2メートル ぐらいの銅像が立っていたのです。この像の人が赤塚直右衛門という旧東国分村の産業組合つくりに貢献し、監事となり後組合長に推されて農業振興に力を尽く し、また村人の経済生活の向上に指導的役割を果たした人です。
1910年代から20年代(大正から昭和初期)にかけての日本は、資本主義の波をもろに受けた時代でした。日本の産業革命は急速に進み労働者の都市集 中・農村の疲幣、地主と小作人の争議等悪い点が次々と起こってきました。国分地方の農村も(80%以上が農民でしたが)特別な大地主以外は苦しい生活を強 いられました。農作物は安くで買いたたかれるし、小作料は値上げされるし日照りによるかんがい用水の不足や稲の病害虫の多発等で大変困りました。

そこへ1914年(大正3年)1月12日桜島が爆発したのです。今までにないような大爆発で天地鳴動し、降灰は激甚を極めました。広瀬の干拓地は水没し 水田耕作は不可能になったのです。水害を受けなかった田畑も降灰のため大変な被害を蒙ったのです。当時の冬の田畑には麦が植わっていたのですが灰で見えな くなりそのままでは枯死するというありさまでした。そこで鹿児島県は護岸堤防工事をし復旧作業にとりかかり、併わせて農民の救済にも力を入れました。その 年のうちに復興資金1万3千円を無利子10年年賦で田畑所有者832名に貸し付けたのです。郷土の先輩赤塚直右衛門を中心とする村人たちはこのお金を無駄 にしませんでした。12月になると早速4,110円を出資金に振り向け、残額8,890円を償還準備積立金として東国分村産業組合を設立したのです。

赤塚直右衛門という人は大変優れた理財家で村で1・2を争うほどの資産家でした。しかも愛郷心おう盛で、郷土のため 村人のために尽くしました。「郷土 を愛し、郷党の休戚を以て自己の休戚として幹旋尽瘁した。」(郷土を愛し村人の苦薬として皆のために尽くした。)と伝えられるような人でした。

家業は肥料と塩元売りが主で、競馬うまなども飼っていたのですが、農村青年の指導にも力を入れました。縄ない競技というのがあった時の話です。「稲わら の1本も大切にするようでなくては金持ちにはなれん。」といいました。縄ない競技は速く、きれいに長く縄をなう競技ですから稲わらはぜいたくに使うのが普 通でした。水田地帯ですから稲わらの1本や2本は無視され塵として焼かれるのが不思議でもないのにと思う人が多い中で、「塵も積もれば山となる。」ことを 教えたわけです。たとえ1本の稲わらでも、「物を大切にする心は人を大切にする心にも通じる。」からです。この言葉は当時の青年の心に深く刻み込まれまし た。
   
 産業組合の主な事業は、①信用事業(貯金・貸付)②購買事業(肥料購買)③販売事業(米・みかん・たまご・木炭・でん粉)④利用事業(精米所)等でした が、直右衛門の指導助言のおかげで県内でもトップクラスの組合となり特に昭和7年「農村経済更生運動」がはじまってからは、農会(農業の技術面を指導)と 協力して小麦増産の指導奨励、自給肥料の奨励にも力をいれ、堆肥・緑肥の品評会がコンクール式に毎年行われたりました。

経済面では農業経営改善指導、農事 小組合の指導、幹部の講習会、農村中堅青年の講習、農産物のあっせん等行ったのです。だから東国分村は豊かな村となり、産業組合も昭和8年の「産業組合拡充五ヵ年計画」が実施されたことによって一層充実し、県下でも優秀な組合の部に入るまでなったのです。
 
 また、直右衛門は村人からの信望も厚かったのです。名誉職で報酬も少ないにもかかわらず村のためリーダーとして自分のことも省みず誠心誠意寝食を忘れて 尽くしたからです。村会議員2期、郡会議員3期、部落会長2期、小学校後援会長2期等々の公職につきながら更に産業組合の監事、そして組合長と兼務するこ と20ヵ年にも及んだのです。だから死後組合員の総意によって銅像が建てられたのです。
 
この銅像は、西郷隆盛の銅像を彫刻した鹿児島県出身の彫刻家 安藤 照 の作になる、2メートルもの立派なものでしたが、太平洋戦争末期に砲弾を作るために軍部に供出されて今は残っていません。直右衛門の遺徳を後世に残そうと した村人の気持ちは、今はその台座にしか偲ぶことはできないようです。 

昭60年1月6日 渕之上堅志   
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